歴史形成

紅河デルタ地方ビンフック省は、有名なドンダウ遺跡を有する古代ベトナム人の発祥地である。ビンフック省は、1950年にビンイエン省(Vinh Yen省)とフックイエン省(Phuc Yen 省)の2つの省が合体して設立された。ビンフック省は、度々行政区画が変更された後、1997年に正式に再設立された。

ビンフック省の面積は1,235.87km2で、2019年の人口は1,154,836人で、人口密度は約934人/km2である。

自然条件

地理

ビンフック省は紅河デルタ地方、北部重要経済圏、首都圏に属しており、北はタイグエン省(Thai Nguyen省)とトゥエンクアン省(Tuyen Quang省)、西はフート省(Phu Tho省)、南と東はハノイ市に接している。

ビンフック省は、国道2号線、ハノイ・ラオカイ鉄道、及びノイバイ・ラオカイ・雲南(中国)高速道路に位置し、北部山岳地帯とハノイ首都を結ぶ架け橋となっている。また、ビンフック省は、ノイバイ国際空港に隣接し、ハイフォン港に接続する国道5号線、カイラン深海港に接続する道路18号線に繋がっている。

地理的・経済的に有利な立地条件により、ビンフック省は、“ベトナム北部の産業開発ベルト”の構成要素となっている。

地形

ビンフック省は丘陵地帯のミッドランドと紅河デルタの間の移行地帯に位置している。そのため、地形は北西部から南東部に向かって徐々に低くなっており、デルタ地方・ミッドランド地方・山地帯の3つの生態系地域に分かれている。

高山地帯の自然面積は63,500ヘクタールで、同省の自然総面積の51.5%に相当し、ラップサック郡(Lap Thach 郡)、ソンロー郡(Song Lo郡)及びタムダオ郡(Tam Dao 郡)の面積の大部分、ビンズエン郡(Binh Xuyen 郡)の4つの村及びフックイエン社(Phuc Yen社)の1つの村の面積を占めている。

ミッドランド地方の自然面積は24,900ヘクタールで、ビンイエン市(Vinh Yen市)のタムズオン郡(Tam Duong郡)及びビンズエン郡(Binh Xuyen 郡)の面積の大部分、フックイエン社(Phuc Yen社)のラップサック郡(Lap Thach 郡)及びソンロー郡(Song Lo郡)の一部の面積を占めている。ミッドランド地方北部の丘陵地は、工業団地や都市部の建設、果樹工芸農作物の開発及び畜産の開発に有利である。

デルタ地方には、ビントゥオン郡(Vinh Tuong郡)とイエンラック郡(Yen Lac郡)、フックイエン社(Phuc Yen社)の一部を含む32,800ヘクタールの自然面積を有する。この地域は平坦な地形で、農業生産に適しており、インフラの建設にも適している。

 

気候及び水利条件

気候に関しては、ビンフック省は、亜熱帯気候地帯に属し、高温多湿を有する。 年間平均気温は23.2‐25度Cで、年間平均降水量は1,500‐1,700mmで、年間平均湿度は84‐85%、年間日照時間は1,400‐1,800時間である。卓越風向は、4月から9月までは東から南の範囲で、10月から来年3月までは東から北風の範囲で霜を伴って、ばらついている。 特にタムダオ山岳地帯(Tam Dao山岳地帯 )は、緑豊かな森や山々とともに、一年中涼しい気候(年間平均気温18度C)を有するので、観光・休暇・娯楽活動の開発に適している。

水利条件に関しては、ビンフック省には多くの多くの河川が流れているが、水利条件は2つの主要な河川、すなわち紅河(ホン川)とロー川に依存している。紅河はビンフック省を長さ50kmに渡って流れており、土壌に肥沃な沖積土をもたらす。ロー川はビンフック省を長さ35kmに渡って流れており、曲がりくねった地形、狭い川床、多くの急流河川を有する。

天然資源

ビンフック省の天然資源には、水資源、土地資源、森林資源、鉱工業資源、及び観光資源が含まれている。

水資源には、地表水と地下水が含まれている。ビンフック省の地表水は、紅河(ホン川)とロー川の2つの大河川とともに、フォーデイ川(Pho Day川)、ファン川(Phan川)、カロー川(Ca Lo川)などの小河川、さらには一連の貯水池(ダイライ(Dai Lai)、サフオン(Xa Huong)、バンチュック(Van Truc)、ダムバック(Dam Vac)など)のおかげで非常に豊かである。また、同省の地表水は、膨大な水量を蓄えており、人々の生産や日常生活に水量を十分に提供している。一方、地下水量は少なく、1昼夜あたり約100万m3にとどまる。

土地資源に関しては、ビンフック省には、沖積土と丘陵土の2つの主要な土壌グループを有する。2015年時点での土地利用状況に関しては総面積123,513ヘクタールである。内訳としては、農地の面積が92,920ヘクタール(総面積の75.23%に相当)で、非農地の面積が29,311ヘクタール(総面積の23.73%に相当)で、未利用地の面積が1,282ヘクタール(総面積の1.04%に相当)である。

森林資源に関しては、2015年時点で、ビンフック省は約32.12千ヘクタールの林業用地を有する。内訳としては、生産林の面積は14.12千ヘクタール、保護林は2.95千ヘクタール、特殊用途林(自然保護、森林生物遺伝資源の保護、科学研究、歴史的遺物の保護などの用途)の面積は15.05千ヘクタールである。同省で最も重要な森林資源は、15,000ヘクタールを超えるタムダオ国立公園であり、ハクビシン、ムササビ、テナガザルなど、環境省版レッドリストに記録されている多くの貴重な種を含む動植物の遺伝資源(620種以上の植物・樹木、165種の鳥類・動物)を保護する場所である。また、同省の森林は、動植物の遺伝資源を保護するだけでなく、水源や気候を調整する役割も果たしており、観光や旅行サービスの開発にも貢献している。

鉱工業資源に関しては、ビンフック省は、丘陵地帯と紅河デルタの間の移行地帯にある省であるため、鉱工業資源が非常に乏しい。同省で商業的価値のある鉱物は、建築用石材、カオリン石、泥炭など数種類しかないが、その埋蔵炭量は多くなく、鉱工業資源の採掘開発条件も限られている。

観光資源に関しては、ビンフック省は、自然観光資源と人文観光資源を開発させるための多くの可能性を秘めている。タムダオは、標高1500m以上・長さ50km・幅10kmの弓状の山脈で、美しい自然の風景、新鮮かつ涼しい気候を有する。特にタムダオ国立公園及び多くの動植物を有する原生林に属しているその周辺地域は、比較的無傷で保護されている。その上、同省は、ダイライ(Dai Lai)、ディナウ(Di Nau)、バンチュック(Van Truc)、ダムバック(Dam Vac)、ダムズン(Dam Dung)、タンラン(Thanh Lanh)などの生産にも観光開発にも利用できる美しい地形を備える比較的豊富な河川や湖システムを有する。豊かな伝統文化的価値(または資源)と組み合わされた観光開発に役立つ自然の可能性は、同省の社会経済開発のための重要なリソースになるだろう。

 

行政区画

ビンフック省は、ビンイエン市(Vinh Yen市)、フックイエン社(Phuc Yen社)、ビンズエン郡(Binh Xuyen 郡)、ラップサック郡(Lap Thach 郡)、ソンロー郡(Song Lo郡)、タムズオン郡(Tam Duong郡)、タムダオ郡(Tam Dao 郡)ビントゥオン郡(Vinh Tuong郡)とイエンラック郡(Yen Lac郡)を含む9つの行政区画を有する。

ビンフック省の省都は、ハノイ首都中心から50 km、ノイバイ国際空港から25kmに位置するビンイエン市(Vinh Yen市)である。

人口及び人材

2019年のビンフック省の総人口は平均で1,154,836人である。内訳としては、男性は575,460人(総人口の49.83%に相当)で、女性は579,376人(総人口の50.17%に相当)である。同省の人口の自然増加率は11.3%である。また、2019年の労働人口比率は55.47%を、経済部門に従事する人口比率、具体的に農林水産業に従事する人口比率が28.49%を、建設業に従事する人口比率が44%を、商業サービスに従事する人口比率が27.51%を占めた。